破産すればファクタリングの取り立てを免れることができますか?

破産すればファクタリングの取り立てを免れることができますか?

ここでは、ファクタリング業者の取り立てに悩む事業者が破産をすることができるのか、破産をした場合にファクタリング業者からの激しい取り立てが止まるのか、破産以外にもファクタリング業者からの取り立てが止まる方法はないか、についてファクタリングを多く取り扱う弁護士が解説してゆきます。ファクタリング業者への返済や取り立てにお困りの事業者の皆様には参考にして頂けましたらと思います。

破産すればファクタリングの取り立てを免れることができますか?

近年、経済産業省が売掛金を活用した資金調達を推奨していることも影響し、ファクタリングの知名度や需要が高まっています。

しかし、ファクタリングはメリットばかりではありません。

むしろ、コスト(手数料)だけを鑑みれば非常にデメリットが多く、リスクが非常に高い資金調達手段であるといえます。

また、ネットの広告やファクタリング会社のホームページではファクタリングのメリットばかりを前面に押し出していますが、実際にはファクタリングの返済が困難となり、苦しんでいる事業者が山のように存在しているのです。

ですが、そのような状況に陥っても打開策がないわけではありません。

要注意‼利息制限法を大幅に超えるファクタリングの手数料

ファクタリングは、簡素な書類を提出し、簡単な手続きを取るだけで売掛金を現金化できる資金調達手段です。

そのため、その手数料の高さに注視せず、軽い気持ちで利用する事業者や企業が後を絶ちません。

ファクタリングの手数料相場は、おおよそ2社間ファクタリングで「10%~30%程度」、3社間ファクタリングで「1%~10%程度」であり、ファクタリング契約が成立すれば、売却する売掛債権の金額からその手数料が差し引かれたお金が利用者の元に入金されることとなります。

たとえば、手数料が10%で100万円のファクタリングを行った場合、入金されるのは手数料の10万円が差し引かれた90万円が入金されます。

この手数料を、「たかが10%」と考える方もいるかもしれませんが、これを年利に換算した場合、「120%」もの高金利相当となってしまうのです。

法定金利が「15%~20%」ということを鑑みれば、ファクタリングの手数料がいかに法外に高いかがわかるでしょう。

それでも、安易にファクタリングに手を出してしまい、ファクタリング会社に返済すべき額が雪だるま式に膨れ上がり、返済が困難となってしまう方が多くいらっしゃいます。

ファクタリングを多用した企業や事業者の末路

ファクタリングにて資金を調達した場合、利用者には重い手数料がのしかかってきます。

一回ではまだ耐えることができるかもしれませんが、ファクタリングを利用する方の多くは資金繰りに窮しているため、ほとんどのケースで2度、3度と頼らざるをえなくなります。

ここまでくると、もう資金繰りの改善どころの話ではありません。

ファクタリング会社への返済に追われ、場合によっては同一売掛債権の二重譲渡や多重譲渡、架空債権の債権譲渡などを画策する人も出てきます。

また、ゆくゆくは自転車操業や一昔前の貸金の多重債務者の状態になり、最終的には「経営破綻」へと陥ってしまいます。

中には激しい取り立てを行うヤミ金や反社会的勢力も存在する

ルールの整備がまだまだ行き届いていないファクタリング業界には、多くのファクタリング会社が参入しています。その状況は、正直乱立状態といっても過言ではありません。

そして、中にはファクタリングという甘い汁をすすろうと、ヤミ金や反社会的勢力のようなところも多く存在しています。

このような悪徳業者は、「法外な手数料の請求」や「ファクタリングなのに貸し付けを行う(利息を請求する)」などといった行為だけでなく、会社や自宅へ怒鳴り込んでくるというような激しい取り立てを行うこともあるため注意が必要です。

ファクタリング業者の取り立てに悩む事業者が破産をすることができるのか?

破産とは、「借金が返せない状態の人」が、裁判所に「破産申立書」を提出して「免責許可」をもらい、一定の財産を債権者に提供することで借金を免除してもらう法的手続きです。

経営不振で債務超過状態にあったり、支払い不能状態であった場合には、自己破産をすることが可能となります。

この点、ファクタリングとは「借入」ではなく、あくまで「債権の売買(譲渡)」による資金調達手段となります。

そして、破産とはあくまで借金をゼロにする手続きであるため、「ファクタリングでも破産はできるのか?」という点は気になります。

確かに、ファクタリングは借金ではないとされています。

しかし、回収業務委託契約書には会社が取引先(売掛先)から売掛金の回収を行い、その売掛金をファクタリング会社に支払うこととなっており、またファクタリング会社は取引先(売掛先)から回収できない場合、事実上、会社から回収しようと取り立ててくることも多いです。

さらには、ファクタリング契約書にも表明保証に違反した場合は、会社が損害賠償義務を負う旨が規定されており、場合によっては、ファクタリング会社はファクタリング契約を解除して会社に対して返金を求めてくるケースもあります。

これらを総じて鑑みると、ファクタリングは理論的にも「会社の債務となる」と考えられます。

そして、会社が債務超過又は支払不能ということとなれば、自己破産の要件を満たすので破産をすることが可能となるのです。

破産をした場合にファクタリング業者からの激しい取り立てが止まるのか?

そして、破産を行った場合、ほとんどのファクタリング会社は、事業者に対する取り立て等を中止します。

ファクタリング会社も、そんな破産した会社から取り立てを行おうとするケースはほとんどありません。

破産を行うということは、資金力がないということであり、ファクタリング業者も資金力がないところに取り立てに行っても無駄骨になることが多いことから、それは諦め、次の取引先を探しに出かけてしまうのです。

そのため、ファクタリング会社への返済が困難となり、「返済や取り立てを免れたい」という場合には、破産は非常に有効な手段となります。

破産以外にもファクタリング業者からの取り立てが止まる方法はないか?

しかし、破産だってメリットばかりではありません。

「資産を失う」「ブラックリストに載る」「官報に掲載される」などといった、複数のデメリットもあります。

破産以外にもファクタリング業者からの取り立てが止まる方法はないのでしょうか?

破産に類似する方法として、私的整理・会社整理・債務整理・任意整理というものもあります。

これらは、裁判所における破産手続きまではしないものの、弁護士が介入して、事業者の債務を整理することを言います。

私的整理・会社整理・債務整理・任意整理をする事業者であれば、資金力がないということであり、ファクタリング業者も資金力がないところに取り立てに行っても無駄骨になることが多いことから、それは諦め、次の取引先を探しに出かけてしまうのです。

要するに、ファクタリング会社からの激しい取り立てを回避するために、破産まで行う必要はないということです。

さらに言うなら、弁護士が介入して、ファクタリング会社との間でのみ、ファクタリング会社の債務のみを整理することも選択肢としては存在しており、そのような場合もファクタリング会社としては、もう取り立てに来ないことも多くなります。

弁護士による介入

弁護士による介入であっても、ファクタリング会社からの取り立ては止まる傾向にあります。

特に、令和2年3月、金融庁がノンアクションレターにより給与ファクタリングの違法性を宣言し、裁判所も令和2年3月24日に給与ファクタリングについて違法であり無登録貸金業(ヤミ金)であるとの判決を下し、令和2年5月に東京弁護士会が二社間ファクタリングについて全般的に無登録貸金業(ヤミ金)であるとの見解を示しました。

これらを受けて、ファクタリングをめぐる環境は大きく変わりつつあり、過払い金返還請求ができるような状況となってきています。

弁護士介入によるファクタリング会社との交渉も有益になってきているのです。

弁護士ならば、あなたの代理人としてファクタリング会社と直接交渉を行ってくれます。

また、基本的に立ち合いも不要であるため、心理的ストレスも軽減されるはずですし、本業に専念することも可能です。

どのような状況に陥ったとしても、改善する方法はきっとあります。

まずは一人で悩むのではなく、ファクタリングトラブルに関しましては、法のプロである弁護士へ相談することをご検討ください。