ファクタリング会社に返せない!対応方法!

ファクタリング会社に対する過払い金返還請求の可否とその方法!

ファクタリングは保有する売掛債権を売却して現金化するもので、資金調達の手段の一つとして検討されることがあります。

海外では割と一般的ですが、日本国内の資金調達法としてはまだ銀行などからの融資がメインで、ファクタリングはそれほど浸透しているとは言えません。

ただ、銀行等からの借り入れが難しい時などに利用されることがあり、最近はファクタリングの利用の増加に伴ってトラブルも増えているようです。

本章では、売掛債権を売却したファクタリング業者にお金を返せなくなった場合にどうなるのか、対応方法なども含めて解説していきます。

ファクタリング会社に返せなくなった場合はどうなる?

企業間の債権を売買するファクタリングでは、自社と売掛先、ファクタリング業者の三者が契約当事者となる「三社間ファクタリング」と、自社とファクタリング業者の二者だけが契約当事者となる「二社間ファクタリング」の二種類があります。

三社間ファクタリングでは売掛先の合意の下で進められる形態のため、ファクタリング業者が売掛先から直接資金を回収するだけですので、債権譲渡会社となる自社が資金を返せなくなるという事情は生じません。

問題が生じるのは二社間ファクタリングで行う取引です。

売掛債権を譲渡した時点で予定されていた売掛金の入金が何らかの理由でなされないことになるなど、ファクタリング業者に交付する資金が用意できない場合に問題になります。

形式上は売掛債権の譲渡取引であり融資を受けたわけではないので、「返す」という表現は厳密には適当ではありませんが、実際には債権譲渡会社が売掛先に対し売掛金の回収代行責任を負うような契約となることが多く、その責任を果たせない場合はやはり責任を追及される立場となります。

支払期限を延長してもらうことはできるか?

予定されていた売掛金の入金が何らかの事情で遅延した場合、入金がされるまでファクタリング業者に対する支払期限を延長してもらうことができるでしょうか。

支払期限の延長は交渉すること自体は可能ですので、ケースによってはファクタリング業者の承諾を取れるケースもあります。

例えば、売掛先の経理担当者が急病で手続きが数日程度遅延してしまうような、理由がはっきりしていて入金自体がご破算になるような事案でなければ、事情を丁寧に説明することでファクタリング業者の了承を取れるかもしれません。

ただし、その場合でもファクタリング業者への入金が遅れることのペナルティは避けられないのが普通です。

契約で定めた遅延損害金の支払い義務が生じることは、覚悟しておかなければならないでしょう。

分割返済は可能か?

支払期限の延長ができるのであれば、分割払いもできるとより楽に返済することができます。

しかしファクタリングの場合、分割による返済はほぼ不可能で、ファクタリング業者が了承してくれることはまずありません。

理由は、分割払いに応じてしまうと実質的な金銭消費貸借取引であると見られてしまい、ファクタリング業者にとって大きな不都合が生じるからです。

ファクタリングは取引の種類として融資形態でないことが必要で、もし融資であるとなればファクタリング業者は貸金事業者としての登録が必要になってしまいます。

融資でないからこそ、金融庁の監督下で規制されることなく、金利の上限なども気にしなくてよいという利点が業者側にあるのです。

金利ではなく「手数料」の名目で、実質的に高利率のうまみを得ることができるのが業者側にとって都合が良いわけですね。

分割払いに応じてしまうと、融資の返済であるという外観が推認されてしまい、ファクタリング業者が違法に融資を行ったという指摘をされてしまう恐れがあります。

ですので、本来は、ファクタリング会社は、分割払いを簡単に了承することはできないはずですが、現実には、どのファクタリング会社も分割ででもとにかく早く資金を回収したいという意向が強く働くようであり、交渉には応じてくるようです。

他方、ファクタリング会社としては、売掛先からの回収が容易と思われる場合には、そちらから回収すればいいやということで、そもそも分割払いに応じる必要がないから応じないということもままあります。

業者側がとってくる対応(悪質性がない業者の場合)

それでは、実際にファクタリング業者への支払いができなくなった場合、相手はどのような行動をとってくるのか見ていきます。

この項ではまず悪質性のないファクタリング業者である場合を想定します。

損害賠償の請求

契約で取り決めた入金がなされない場合、まずはそのペナルティとして遅延損害金の請求がされますが、それとは別に実害が生じた場合には、その賠償を目的として損害賠償の請求がなされます。

債権譲渡通知

予定されていた支払いがなされない場合には、ファクタリング業者は何とかして資金を回収するために、売掛先に対して債権譲渡通知を行うことになります。

これは、債権譲渡会社から売掛債権を買い取ったこと、そのため売掛金の支払いは当社(ファクタリング業者)に支払うこと、の旨を通知するものです。

本来二社間ファクタリングは、お得意先でもある売掛先の会社に知られないように進められるのが好都合であるから取られる手段です。

もしお得意先である売掛先に債権譲渡通知がされてしまったら、二つの意味で不利益が生じます。

一つは、売掛先が自社の信用に疑念を持つことです。

「売掛債権を売るなんて、資金繰りが危ないに違いない。今後は取引を控えよう」と考え、以後の取引を停止されてしまう恐れがあります。

もう一つは信用低下が売掛先だけではなく、業界全体に広まってしまうことです。

売掛債権を譲渡した事実が業界内で話題になれば、他社もその後は取引に慎重になるでしょう。

取引が停滞すれば、自社の収入が当然減りますから、なおさら資金難に陥る可能性が出てきます。

債権譲渡の通知は、将来的に自社の存亡がかかってくる一大事といえます。

ただ、債権譲渡通知は何も相手をいじめることが目的でされるわけではありません。

ファクタリング業者としても、多額の資金回収が不能になれば会社としての危機ですから、何とかして回収しなければなりません。

ですから悪質性のない業者であっても、債権譲渡通知はされると考えておきましょう。

悪質性の高い業者の場合の取り立て方法

ファクタリングを検討、利用する際に十分に気を付けなければならないのが、悪質性の高い業者と付き合ってしまわないことです。

金利の制限がないことからうまみが大きく、なおかつ現段階で特別な法規制がない状態のため、悪質性の高い業者が簡単に参入できるのが今の現状です。

闇金業者なども簡単に参入でき、表面上は普通のファクタリング業者を装っていても、中身はまっとうな業者でないこともあります。

悪質性の高い業者は倫理観のかけらもないような執拗な取り立てを行うので、ファクタリングの利用者は金銭面以外にも精神的、肉体的に追い詰められる危険があります。

以下で、悪質性の高い業者がどのような取り立てを行うのか見てみましょう。

鬼電

利用者に対して、一日に何百回も電話をかけて返済を滞らせていることを攻め立てます。

このような行為を通称「鬼電」といいます。

会社にひっきりなしに電話がかかってくると業務にも支障が出ますし、多くの場合携帯電話の番号も聴取されますから、昼夜関係なく電話が来て精神的に追い詰められます。

電話に出ないと、今度はそのこと自体を責められ、以下で説明するような別の手段の嫌がらせをしてきます。

身近な人に接触して嫌がらせ

悪質な業者は、相手を困らせる行動をすることで、「こんなことをされるくらいなら、早く金を返さなきゃ」と思わせることを狙います。

相手が嫌がることを実行してくるわけですね。

例えば、会社と取引のある企業や、取引先の金融機関、所属する商工会、社長さん個人とつながりのある配偶者や子供、その他の家族、実家の両親、親戚などに金を返さないことをばらしたり、代わりに弁済するように強要したりします。

社長の友人、友人の配偶者や子供、友人の子供が通う学校まで電話をかけることもあります。

最近はSNSを追っていけば個人や企業とつながりのある筋は意外と簡単に判明します。

金銭トラブルが発生していることを暴露し、「〇〇のせいで迷惑してる。友人として責任をもってお前が弁済しろ」などと平気で要求します。

要求が通るかどうか、筋が通るかどうかは問題ではなく、こうすることでその友人等から社長さんが責められることになり、友人関係にひびが入ります。

会社の取引先であればビジネス面でも支障が出るでしょう。

取引先の企業でなくとも、噂が広まるだけで打撃になります。

そのように仕向けて、「返さないとやばい」と思わせるのが狙いです。

無断で出前や救急車、霊きゅう車等を呼ぶ

嫌がらせが相手を動かす原動力になると信じる悪質業者は、無断でファクタリングの利用者宅や会社にピザや寿司の出前を連日、大量に頼んだり、タクシーや救急車、霊きゅう車などを手配することもあります。

繰り返すと店側も警戒するようになりますが、ピザ店Aがダメになれば、ピザ店Bに電話で注文するなど、執拗に繰り返されます。

霊きゅう車は相手に対して「死」を想像させるので、心理的圧迫効果が高いとされています。

他の債務者を使って嫌がらせをする

闇金から転じた業者の場合、闇金業でもカモになっている人質を抱えています。

彼らも借金の返済ができずに、業者の言いなりにならざるを得なくなっているので、このような人たちを使って嫌がらせをしてくることもあります。

夜間に人知れず「金ドロボー」などの張り紙を貼ったり、車のタイヤをパンクさせるなど実害を生じさせることもあります。

物品の損壊などは当然人に見られないようにし、警察から追及されにくいように周到な手配をしてきます。

ファクタリング会社に返せない場合の対応方法

それでは、ファクタリング業者に返金できない場合の対処法について見ていきます。

相手が悪質性のある業者でも、悪質性がない業者でも、どちらにしてもまずはファクタリングトラブルに詳しい弁護士に相談するのが先決です。

下手に自分で動いてしまうと事態を悪化させる可能性があるので、まずは現状を弁護士に相談して、どのように動くのが賢明か、行動の指針を探ることが先決になります。

弁護士が味方に付けば、何とかして資金繰りを考えるべきなのか、それとも債務整理や破産を考えるべきなのか、他の手段も視野に入れた選択肢を考えることができます。

場合によっては弁護士が相手方業者と交渉もしてくれます。

債権譲渡通知の発送を避ける交渉や支払期限の延長交渉はもとより、本来であれば難しい分割払いの提案も不可能ではりません。

貸付と見られたくないことから、通常は分割払いには決して応じませんが、準金銭消費貸借契約という種類の契約に切り替えることができれば分割払いも可能になります。

その代わり、相手にメリットのある提案をしなければならず、交渉力と提案力が求められるので、経験の豊富な弁護士でなければ難しいでしょう。

過去にはファクタリングに名を借りた偽装ファクタリングで逮捕例もありますから、悪質性が強い場合は刑事事件の扱いにして、事態の切り抜けを図ることもできます。

具体的な対応方法は個別事案で異なってくるとしても、まずは弁護士に相談する、これにつきます。

どうしても弁護士に相談できる状況にない場合は、以下のような道を模索することになります。

資産の売却

在庫商品について買取業者に一括買取をお願いしたり、動産、不動産などで売却しても会社が倒産する恐れのないものは思い切って売却し、現金を作ります。

この際、「もったいない」「あればいずれ活用できる」などの言い訳をしている暇はありません。

会社の命を守るために、倒産の危機に影響しない資産はすべて売却します。

売掛金の早期回収

他の取引先と交渉して、本来の額よりも幾分値下げを提案したうえで、早めに入金してもらうことができないか交渉してみます。

資金繰りの問題を抱えていることがばれてしまいますから、信用面が低下してしまう恐れがあるものの、緊急事態ですから躊躇していられません。

出費の削減

現金を作り出すのと並行して、出費の削減も同時に行います。

不要なサービスはすべて解約し、少しでも出費を減らすようにします。

銀行融資のリスケ

また銀行から融資を受けている場合は、銀行融資の返済の猶予を申し込み、リスケをすることにより、資金の流出を止めることも必要です。

取引先・下請先・仕入先への支払いを待ってもらう

また、取引先・下請先・仕入先への支払いが迫っている場合には、取引先・下請先・仕入先への支払いも待ってもらい資金の流出を止めましょう。すでに、取引先・下請先・仕入先への支払を何度も待ってもらっているかもしれませんが、債権譲渡通知を重要取引先に送付され、取引停止になってしまうかどうかの瀬戸際でもありますから、取引先・下請先・仕入先への支払を待ってもらうほかありません。

ファクタリング業者の乗り換え

現実には難しいことが多いですが、手数料の安いファクタリング業者に乗り換えて、債務を一本化することで負担を少しでも減らすことができれば有利になります。

ビジネスローンの検討

比較的低負担で、迅速に資金調達が可能なビジネスローンを検討します。

ファクタリングを利用しているということは、すでにビジネスローンが難しい状況であることが多いですが、可能性があれば検討します。

自分でできそうな対処法を一通り挙げましたが、先に述べた通り、弁護士に相談せずに独断で進めるとかえって事態をまずい方向に進める危険があるので、可能な限り弁護士と相談の上で進めるようにしてください。

また、どこからも借り入れができないからといって、闇金に手を出して現金を用意しようとは絶対に思わないでください。

一度闇金とつながってしまったら簡単には逃げきれません。

接触するだけでも危険ですので、連絡すらしてはいけません。

すでに闇金系のファクタリング業者を利用してしまっている場合は手遅れですが、現状で取引しているのが通常のファクタリング業者であれば、まだ何とか出来る可能性はあります。

相談する弁護士の選び方

ここでは、相談相手となる弁護士をどのように選べばよいのか、より詳しく見ていきます。

弁護士も医師と同じように得意分野は色々と別れており、畑違いの相手に相談してしまうと事件の解決は難しくなります。

ポイントは、法人のファクタリングトラブルについて、実務経験が豊富な弁護士を選択することです。

この点、国内のファクタリング問題はまだ歴史が浅いので、ファクタリングトラブルだけを看板に掲げているところは少ないかもしれません。

その場合は、企業法務や金融トラブルに強いことを掲げている事務所に注目して見てみましょう。

闇金など悪質金融にも知見のある事務所であればなお良しです。

まとめ

本章では、ファクタリング取引で相手方業者に返金できなくなるとどうなるのか、対応方法なども含めて見てきました。

トラブルになるのは主に二社間ファクタリングによる取引形態であり、ファクタリング業者への支払いができなくなれば、遅延損害金の発生だけでなく、債権譲渡通知をされてビジネスの継続が難しくなる恐れが出てきます。

相手が悪質な業者であれば、さらにひどい状況に追い込まれる危険があります。

どちらにしても、もしファクタリング業者に支払いができなくなったときには、すぐに弁護士に相談して現状を共有し、事態打開の道筋を模索する必要があります。

弁護士選びも重要ですので、ファクタリングトラブルに詳しい弁護士を探すようにしましょう。