架空債権をファクタリング(詐欺)したら警察から連絡が来た!

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架空債権を捏造してファクタリング業者と売買取引をしてしまった場合、その行為は刑法に触れるため逮捕、起訴される可能性があります。

もし事業者の方で架空債権をファクタリングし、その後警察から電話による接触があったならば、逮捕される可能性を考えて今すぐに対応を考える必要があります。

この回では架空債権によるファクタリングをしてしまった後で警察から電話がきた時の対処法を弁護士が詳しく解説します。

警察からの着信履歴があった場合、考えられる用件は?

一般の民間人であれば警察から電話が来ることはまずありませんが、もしかかってきた場合の用件としては以下のように色々考えられます。

被疑者の立場で取り調べの出頭要請

何らかの事件に関して疑いを持たれている場合、被疑者として取り調べをするために出頭要請の連絡が入ることがあります。

被疑者として取り調べを受ける場合、取り調べ中に容疑が固まったとして逮捕される可能性もあります。

参考人や被害者として話を聞きたい場合

あなたが何らかの事件の被害者と考えられている場合や、直接の当事者でなくとも事案を目撃しているなどで意見を聞きたいと警察が考えている場合です。

被害者や参考人としての立場で話を聞きたいと警察が考えていれば、そのための出頭要請として電話がかかってくることがあります。

その他

例えば落とし物や免許関連などの行政処分の件で警察から連絡が入ることもあります。

最近では振り込め詐欺などで警察を名乗る電話がかかってくることもあるので、こちらの方面はまた別の注意が必要です。

架空債権によるファクタリングをした事実がある場合の注意点

あなたが架空債権を用いたファクタリングをした事実があるのならば、警察があなたを犯人と考えて捜査している可能性を考えなければいけません。

前項のうち①の用件で電話をしてきた可能性を強く意識する必要があるということです。

そこで、警察から電話による接触があった場合は、それまでのファクタリング業者の動きや、警察から接触があったタイミングを改めて振り返ってみてください。

架空債権を売ったことがファクタリング業者にバレると、当初は厳しい取り立てを受けるはずです。

それで資金の回収ができないと判断すると、ファクタリング業者は架空債権を譲渡した会社と経営者を懲らしめるために警察に相談します。

するとそれまでの取り立てがピタッと止みます。

刑事告訴がなされると、それから3ヶ月~6ヶ月ほどで警察が捜査に動き出すので、取り立てが止んでからそれくらいして警察から電話がかかってきたということは、あなたを被疑者として取り調べたいと考えている可能性が高いと考えられます。

着信を無視するとどうなる?

架空債権による不正な取引をした事実がある場合、警察は出頭を要請するまでもなくすぐにあなたを逮捕することも可能です。

それをせずに電話をかけてきたということは、逮捕前に犯罪の事実を明確にするために話を聞いておきたいという意図があるのかもしれません。

今すぐ逮捕すべきと考えていれば電話による接触はしないはずです。

その場合、電話による接触を無視すれば逃亡の危険ありと判断してすぐに逮捕の手続きを取られる可能性もあります。

そう考えると、警察からの電話は無視せずに対応した方が無難です。

一度程度の不在着信があったような場合は、仕事等で出られなかった可能性を考えて再度警察の方から電話を入れてくることが多いと思いますが、すでに何度も着信を無視しているのであれば、こちらから電話を入れた方が良いかもしれません。

電話内容は録音してもいいのか?

相手からかけてくるにしても、こちらから電話をかけるにしても、通話内容を録音することについてはどうなのか?とよく聞かれます。

弁護士としては、可能であれば録音しておくことをお勧めします。

通話内容を録音すること自体は何かの罪に問われることはありません。

むしろ違法捜査をされた時の証拠となりうるので、可能であれば録音しておきましょう。

仮に架空債権によるファクタリングではなく、振り込め詐欺などの電話だったとしても、その証拠となるので録音しておいて損はありません。

電話に対応するときに留意すべきことは?

警察からの電話に対応する場合には、まず振り込め詐欺などの可能性を排除し、本当に相手が警察なのかを確認することです。

不在着信だった場合は電話帳等でその番号が本当に警察からのものなのか照合を行い、警察の番号であることの確認が取れたら、次回の着信時に電話に応答するか、もしくは自分から掛け直す選択を考えます。

警察であることの確認ができていない段階で着信に出て通話する場合、通話相手には最低限以下を確認します。

  • 氏名
  • 警察署名及び所属部署名
  • 用件
  • 連絡先の電話番号

一通り用件などを聞いても良いですが、その電話内容だけで相手を完全に信じるのは危険です。

電話番号は本当の警察の電話番号を言うこともできるので、聞いた番号を電話帳等で照合し、こちらからかけ直す方が安全です。

架空債権取引をした身分としては最も気になるのは用件だと思いますが、聞いてある程度答えてくれることもあれば、電話では教えてくれないこともあります。

「警察に来てくれれば話す」とか「何の用件かは自分で分かるだろう?」などとはぐらかされると、電話では用件がつかめないこともあります。

その場合でも、相手の所属先から用件がある程度類推できることもあります。

殺人や強盗などの事件であれば「捜査一課」や「強行犯係」などの部署が対応しますし、詐欺事件や知能犯などの事件では「捜査二課」や「知能犯係」などの部署が担当します。

あなたが架空債権によるファクタリング事件の被疑者になっていたり、参考人として事情を聴かれるのであれば二課や知能犯係などの部署から連絡がくるはずです。

電話番号を調べるだけでもどの部署か分かることが多いので、不在着信があった場合は先に確かめておきましょう。

弁護士に相談せずに対応するのはハイリスク

電話番号のチェックで二課や知能犯係などからであることが分かれば、いよいよあなたが被疑者として疑われていることが予想されますので、出頭要請に応じなければ逮捕される可能性が高くなります。

要請に応じて警察に出頭するかどうかは任意で義務ではありませんが、逮捕の危険があるということは忘れてはいけません。

この時点ですぐに弁護士に相談するべきですが、もし弁護士なしで出頭要請に応じた場合、大きなリスクを背負うことになります。

警察では供述調書を作成し、内容に間違いないことのサインを求められます。

しかしこの供述調書は警察側に都合の良いように微妙にニュアンスが変えられることがあり、その場合後の裁判で不利になってしまう危険があります。

供述調書に事実と違うことが書かれている、概ねは合っていても細かいところで違いがある、微妙にニュアンスが違い違和感があると感じた時はサインを断り、調書の修正を求めなければいけません。

調書へのサインは必ずしなければならないわけではありませんが、サインをしないと家に帰れないように感じ取れる説明をされることもあり、本意ではなくともサインに応じてしまうケースもよくあるので注意しましょう。

一度サインしてしまうと、その供述を後から覆すのは大変難しいということはぜひ覚えておいてください。

後で異議を述べても、「だってお前自身のサインがここにあるじゃないか。納得できないならなぜサインしたんだ?」と言われればそれまでです。

また取調官からは「嘘をつくと偽証罪になるぞ」などと圧力をかけられることもありますが、偽証罪は裁判で宣誓後にうそをついた場合の話です。

警察署での捜査段階で嘘をついても偽証罪になることはありません。

ともかく、警察では孤立した被疑者の心が折れるように誘導されることが多いので、一人でこれに立ち向かうのは至難の業です。

警察からの電話があったことの確認がとれたら、急いでファクタリング事案に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。

逮捕に備えて出頭前に弁護士に相談しましょう!

警察が架空債権によるファクタリングの捜査に着手しているのであれば、事情聴取のための連絡があった時点で逮捕へのカウントダウンはすでに始まっています。

出頭要請に応じるとしても、その前に弁護士に相談することで自分に不利にならないような立ち回り方を考えておくことが可能です。

聴取段階では不当な取り調べがされないよう、弁護士が録音や録画による記録の保全を求めることもできます。

仮に逮捕されることになっても、その後の対処が容易になります。

被疑者として事情を聴かれる場合、状況によってはそのまま逮捕となってしまう可能性もあり、その場合は一定期間身柄を拘束されることになります。

そうなると外の世界とのパイプを十分に生かすことができなくなるので、弁護士との相談は警察に出頭する前に済ませておくことが肝要です。

可能であればファクタリング業者が警察に相談する前に弁護士に相談することを強くお勧めします。

そうすることで事件化を防ぎ、逮捕のリスクを遠ざけることができます。