架空債権でファクタリングしてしまった(ファクタリング業者を騙してしまった)!リスクや対処法!
架空債権をファクタリングしてしまった際のリスクや対処法を徹底解説!
資金繰りが厳しい中小企業や個人事業主にとって、資金をどのように調達していくかは永遠のテーマですが、そんな中小企業や個人事業主でも売掛債権さえあれば資金を調達できるのが『ファクタリング』です。
しかし、ファクタリングが台頭してきたのはここ数年のことであり、実際にはファクタリングの知識が乏しいまま利用している方も少なくありません。
また、中には当たり前のように「架空債権」によるファクタリングで資金の調達を行っている方もいらっしゃいますが、架空債権をファクタリングする行為は『詐欺罪』が成立してしまう可能性もあるので非常に危険なのです。
万が一架空債権のファクタリングによって資金を調達しているならば、早急に対処する必要があります。
そこでこの記事では、架空債権とはなんなのか、その内容や架空債権をファクタリングしてしまった際リスク、対処法などの情報を徹底解説していきます。
架空債権とは?
『架空債権』とは、その名の通り「存在しない架空の債権」です。
本来、売掛金とは目に見えない債権であるため、請求書の偽造や捏造、決算書や試算表の粉飾などを行うことにより架空債権を作り上げることも可能となります。
また、ファクタリングを利用する際には当然ファクタリング会社による審査が行われるのですが、ファクタリング会社において、信用情報などを元にしても架空債権は中々見抜くことが難しいのです。
架空債権でファクタリングを行うとどうなるのか?
架空債権でファクタリングを行うと、利用者は一体どのような罪に問われてしまうのでしょうか。
まず、ファクタリング会社から『詐欺罪』で訴えられる可能性がでてきます。
そもそもファクタリング会社は、利用者から提示された債権が実在するものと前提した上で、売掛債権を買い取っているのです。
その売掛債権が架空のものであり売掛金の回収ができなければ、結果的にファクタリング会社に嘘をついてファクタリング会社に損害をこうむらせることとなってしまいます。
そうすると結果的に詐欺罪が成立してしまい、尚且つ被害額によっては刑事告訴され執行猶予のない実刑判決が下ってしまうケースもあるのです。
更には、請求書や決算書の捏造による『私文書偽造罪』や、期日までに支払いが不可能な場合には『横領罪』で告訴されてしまうかもしれません。
このように、架空債権でファクタリングを行うということは、非常に大きなリスクが伴ってしまうのです。
逮捕事例もあり
これまでに架空債権をファクタリングしてしまった企業の中には、当然逮捕されてしまった事例もあります。
ここでは、その一例を以下にてご紹介します。
逮捕事例
警視庁捜査2課は、詐欺の疑いで発光ダイオード(LED)製造販売会社「EVERLUCE(エバルーチェ)」の元代表取締役と、その妻である元役員を逮捕しました。逮捕容疑は、平成27年5月中旬にファクタリング会社に架空の売掛債権を買い取らせて、約7,700万円を騙し取ったとのこと。
更に、同課によれば逮捕された2人は大手電力会社への売掛債権について架空の売買契約書を作成することにより、ファクタリング会社の支店長を信じ込ませることで「平成27年5月~平成28年12月」までの間に、実に『約7億7千万円』を搾取した疑いがあるとのことです。 |
この会社は、解散する前は停電時でも点灯することが可能なバッテリー内臓式のLED照明を開発し販売しており、取引先として大手電力会社などとも付き合いがありました。
そして、その大手電力会社の印鑑を偽造し書類を捏造することで、ファクタリング会社を騙すことに成功し、資金を調達していたのです。
印鑑や書類を偽造、捏造をし、それを利用してファクタリング会社を騙しお金を詐取する。
発覚されてしまえば詐欺ということで逮捕されて当然の事例であると言えるでしょう。
状況によっては詐欺罪が成立しないことも?
実は状況によっては、架空債権をファクタリングしたとしても中には詐欺罪が成立しないケースもあります。
それは、ファクタリング会社が「ファクタリングを行ったのは架空債権」ということを認識しているケースです。
例えば、ファクタリング会社との付き合いが長くなってくると、中には売上向上のために「なんでもいいので売掛債権を売って欲しい」「架空債権でもかまわない」といったような架空債権のファクタリングを持ちかけられることもあります。
しかしこの場合は、事前にファクタリング会社が架空債権であることを知っているので、「ファクタリング会社は、欺罔行為により錯誤に陥っていなかった」ということとなり、結果的に詐欺罪は成立しないのです。
稀なケースではありますが、「ファクタリング会社が架空債権ということを知っていれば、詐欺罪は成立しない可能性がある」ということは知っておいて損はありません。
詐欺は破産しても免責にならない!
破産が成立し免責が認められると、借金などの債務の支払義務を免れることができるようになります。
しかし、たとえ破産が成立したとしても、架空債権のファクタリングによる罪は別問題です。『詐欺罪』が免責されることはありません。
絶対に「破産すればいい」というような、安易な考えは持たないようにしましょう。
詐欺は「実刑」になる可能性も十分にあり
詐欺は、被害額が200万円を超えてくると「実刑」になることも十分に考えられます。
また、偽造などを行い「悪質」と判断されてしまうと、更に「実刑」となる可能性が高まってしまうのです。
実刑判決が下れば事業どころではありません。それだけ架空債権のファクタリングというのは大きなリスクが伴うのです。
ファクタリングを『借り入れ』や『貸付』と勘違いしている方が多い
ファクタリングは、ファクタリング会社が利用者から売掛債権を買い取り(譲渡)、その後手数料を差し引いた買い取り金を利用者に渡します。
ですので、ファクタリングはあくまで「売掛債権の売却」であり、『借り入れ』や『貸付』とは異なるのです。
しかし、その点を勘違いしている方も非常に多く、それが架空債権のファクタリングを行ってしまう理由にもなっています。
中には資金繰りに窮してしまい「返済日までに返済できれば問題ない」と考え、結果的に架空債権をファクタリングしてしまう方もいらっしゃいますが、これはファクタリングをあくまで貸付と捉えてしまっていることが大きな原因です。
また、この行為の怖いところは、本人に「騙す」という意識がない点にあります。
例えば、銀行やビジネスローンから融資を受ける際には、時には架空書類を用意し貸付を受けやすくすることもあります。
これは、担当者が黙認しているケースが多く、融資の現場である程度は常習化していることですが、それと同じ感覚で架空債権をファクタリングする方も少なくないのです。
勿論、そのような方を擁護するわけではないのですが、致し方ない部分は確かにあるでしょう。
しかし、ファクタリングはあくまで「売掛債権を売却するもの」であり、ないものを架空債権として売却すれば、それは『詐欺罪』として成立してしまうのです。
その点を理解せずにファクタリングを利用する方が非常に多いのが現状です。
架空債権はファクタリング会社が認識して初めて問題となる
実は、「返済日にしっかりと返済できれば問題ない」という考え方は、正しい部分もあるのです。
勿論、書類の偽造や虚偽の申告などは基本的には良くないことですが、そもそもファクタリング会社からしても、しっかりと決められた期日に支払いを行ってくれるならば架空債権だろうとなんら問題はないのです。
支払いがなかった時点で、ファクタリング会社は初めて「詐欺だ!」と認識します。
ただし、資金繰りに窮して架空債権をファクタリングしてしまう企業が、決められた期日にしっかりと現金を準備できる可能性はかなり低いでしょう。
やはり、仮に資金が調達できる目処が立っていたとしても、架空債権によるファクタリングというのは大きなリスクが伴うため実行することはおすすめできません。
ファクタリングの「手数料が高い!」は言い訳にならない
ファクタリングを利用した方なら、一度は「手数料が高い!」と感じたことがあるのではないでしょうか?
確かにファクタリングの手数料は、『数パーセント~数十パーセント』とかなり高めに設定してあるところが多いです。
利息制限法違反の可能性も十分に考えられるため、中には「ファクタリング会社には何をしてもいい」「架空債権をファクタリングしても大丈夫」と勘違いしてしまう方もいらっしゃいますが、それとこれとは完全に別問題となっています。
また、法外にも感じるファクタリングの手数料ですが、そもそも貸金業法で定められている上限金利はファクタリングに適用されません。
そのため、どのような理由があっても架空債権でのファクタリングは違法行為にあたり、いくらファクタリングの手数料が過大であっても、それは免責の理由には絶対にならないのです。
架空債権をファクタリングしてしまった時の対処法
では、実際に架空債権をファクタリングしてしまった場合にはどのような対処法をとればいいのでしょうか。
まず、第一にすべき行動は、弁護士などの専門家に相談することです。
架空債権のファクタリングが発覚すれば、前述の通り『詐欺罪』や『私文書偽造罪』などに問われてしまう可能性があるため、少しでも早く行動しなくてはいけません。
また、弁護士にも得意、不得意な分野がありますので、できるだけこれまでファクタリングを取り扱ってきた実績や経験を持つ方へ相談をしましょう。
ファクタリングの案件を得意とする弁護士ならば、ファクタリング会社がこれからどのように動くのかが分かるため、問題を解決するために最善の手段を取ることが可能となっています。
ファクタリング会社には絶対に相談しない!
架空債権のファクタリングは、言ってしまえば立派な詐欺行為です。
そのため、訴えられる恐怖や罪の意識から、自らファクタリング会社へ架空債権のファクタリングを謝罪したりする方もいらっしゃいますが、この行為はおすすめできません。
なぜならば、ファクタリング会社とは非常に怖い存在だからです。勿論、全てがそうではないですが、中には闇金まがいの業者も多くあります。
例えば、事務所に軟禁したり、場合によっては親族や取引先の元にも押しかけたりすることもあるのです。
自分だけならまだしも、周囲にまで迷惑をかけられては今後の事業にも大きな影響を与えてしまうでしょう。
どのような状況にあっても、ファクタリング会社へ相談をすることは絶対にやめましょう。
まとめ
信用のある大手企業と比較すると、中小企業や個人事業主は圧倒的に資金繰りに苦しんでいます。
そのため「資金繰りが悪化してしまい、追い込まれて致し方なく架空債権をファクタリングしてしまう」という行動が理解できないわけではありません。
しかし、架空債権であることがファクタリング会社に発覚してしまうと、どのような罪に問われるかも分からないため早期的な対処が必要となります。
架空債権のファクタリングは犯罪行為です。
そのため、落とし所がどのようになるかは蓋を開けてみなくては分からないですが、より良い結果を求めるならば、できるだけ早く弁護士に相談すべきなのは間違いありません。
万が一架空債権のファクタリングを行ってしまった場合は、すぐにでもファクタリングに特化した弁護士へ相談するようにしましょう!